漆のこと
一般的には、漆の木から採取された樹液を精製されたものを漆とよばれてます。
化学的は天然の高分子化合物で、フェノール系の天然樹脂で、石炭酸性脂の一種になります。 防腐剤のクレゾールなどに近い物質です。 主成分はウルシオールと呼ばれる油質で、この油の中に水分が分散し、乳液状になったものです。
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漆が塗膜化すrメカニズム
漆が硬化する過程は、牛乳が乾燥し、半透明の固い皮膜になる事と、物理的には同じですが、漆の場合は少量のラッカーゼと呼ばれる酵素が漆の固い皮膜に深く関わっています。この酵素が空気中の水分から酸素を取り込み、酸化重合を促進し、硬くて強い皮膜を作ります。漆が硬化するためには、温度(25℃前後)と湿度(75%前後)が必要なのは、この酵素が活発に活動する条件だからです。酵素は生き物なので高温にすると死んでしまい、常温では硬化しなくなってしまいます。この性質を利用して、乾きを遅くするために熱を加えた漆を混ぜて、乾きをコントロールする場合もあります。また漆を150℃位に加熱すると短時間で硬化します。プラスチックのフェノール樹脂を金型で加熱して成型する、熱硬化成型と同じ現象です。この性質を利用し、以前は鉄砲や大砲、鉄鍋などに、錆止めとして使われてきました。現在でも昔ながらの鉄鍋に「本漆塗り」と書かれているのを見かけます。漆は、酸やアルカリ、塩分、アルコール等に対しての耐薬品性や、防水、防錆、防腐性もあります。また、電気に対する絶縁性も持ち合わせている万能の天然樹脂です。