漆の乾燥は絵の具の水分蒸発による乾燥と違って、空気中の水分から酸素を取り込ん
で固まる化学反応によるものです。 この化学反応には、適切な温度と湿度が必要とな
ります。 乾燥には、漆の質や環境により通常は数時間から数十時間を要します。また
、適切な環境でない場合には、1か月経っても乾かない場合もあります。


職人さんや漆芸家の方は、室(ムロ)と呼ぶ大きい木箱の中に、湿らした布などを吊る
し、湿度を加えながら乾かしますが、思うように乾燥させるには経験を必要とします。
漆は塗る事よりも、乾かす事の方が難しいとも言われてます。
 漆の乾燥に良いとされる環境は以下記の様です。

 湿度  70%〜85%
 温度  24℃〜28℃
 環境  空気の動かない場所
 一般の家庭で漆を乾かすには、ダンボール箱やプラケースを利用するのが手軽で便
利です。 箱の内底へ防水のためにビニールシートを敷き、その上に湿らせたタオルな
どを敷き、蓋をすれば湿度が保てます。乾かす時に、湿らせたタオルや水滴が、漆の
塗膜に直接触れると、白く曇った様(カブルと言います)になるので注意が必要です。
 
 
   プラケースを利用した乾燥箱の説明図。